死は刻々、吐く一息ごとに迫っている
<藤中松雄の遺書 父母上様 1950年4月6日>
ここに連れて来られたら、何一つ書く事も出来ないのではないかと密かに案じて参りましたが、そうではありません。どうか御安心ください。御佛は勿論のこと、導師、田島先生のお力もどんなに私を勇気づけられているか知れません。よろしくお礼を言って下さい。死は刻々、吐く一息一息、迫っておりますが、ここもお浄土なり、御佛の、父、母のふところと思いますと、ちっとも怖くもなければ恐しくもありません。
その様に本願の親様は、私みたいな罪科に汚れた人間でもお救い下さるのかと思うと本当に勿体なく有難い事で、歓喜せずにおられましょうか。南無阿弥陀仏 合掌
先生が隣の室にお出になりましたから、これでさよならします。
父母上様、どうかお元気にお暮し下さい。父母の面影思い浮べつつ。
南無阿弥陀仏 合掌 松夫
父上様 母上様 昭和二十五年四月六日夜八時三十分頃
親思う心に勝る親心 けふの音づれ何ときくらん(吉田松陰先生作)
















