元信者が語る 天地正教から旧統一教会への移行の内情

そんな中、天地正教の元信者が私たちの取材に応じた。

和歌山市内に暮らす、80代の夫婦と義理の娘。1988年ごろ、妻が自宅の玄関先で勧誘を受けて、先に信者となった。

天地正教・元信者 妻(80代)
「“先祖供養しませんか?”と言ってきたと思う、最初に若い人が。“私もう先祖供養やってますんでいいですよ”と断って。ドア閉めかけた時に、“手相を見ましょうか?”と言ってくれて、それで見てもらったのがきっかけだったと思う」

――手相占いが当たっていたんですか?
天地正教・元信者 妻(80代)
「当たっていた。びっくりするほど」

その後、勧誘してきた人物は家系図を見せながら、きちんと先祖供養をしないと、今度生まれてくる孫に不幸が起こるかもしれないなどと告げてきたという。
夫と義理の娘も、これを聞いて天地正教の信者となった。

天地正教は、仏教系の「天運教」がその母体とされている。

初代教主は帯広の霊能者だという、川瀬カヨ氏。1956年に設立され、1987年に宗教法人格を取得。1988年、天地正教に名称を変えた。
信者に対しては、先祖供養のためには、弥勒信仰が必要だと説いている。

和歌山の元信者は入信してすぐに、自宅の敷地内にあった倉庫を天地正教の道場へと改装した。

天地正教・元信者 夫(80代)
「男のメンバーを呼んできて、日曜日にトンカチやって。天地正教の場合は“道場”というんですけど、それを作って。ここを天地正教の事務所にしたりとか。祭壇を作るのに全部で1500万円ほどかかっている。弥勒仏とか多宝塔とか、一式で1500万円やったかな」

祭壇の中央には、真っ白な弥勒菩薩像が据えられていた。だが、信仰の対象だった弥勒菩薩像は、現在物置の片隅に置かれている。何があったのか。