空襲で家は倒壊…妹の子守をしていた姉は帰らぬ人に 弟は頭がい骨が陥没

水口さんの自宅のそばにも爆弾が落ち、家は全壊。水口さんは6人家族で、当時兄は出征していて、父親は不在でした。家には水口さんの母親と2つ年上の姉、妹と弟の4人がいましたが、妹の子守をしていた姉が倒壊した家の下敷きになり亡くなりました。勉強熱心で、女学校に入学したばかりだった姉。水口さんにとっては突然のことに実感がわかず、涙も出なかったといいます。当時のことはあまり鮮明に思い出せないと語る一方で、母親のがっくりとした様子は記憶に残っています。

「母親が『トシコ(姉)はあかんかった 亡くなったわ』って。でも実際見てへんからわからへんもん。対面もなかった。お骨だけや」

妹は少し傷ついただけで無事でした。爆弾の「ひゅー」っという音を聞いた姉が、とっさに妹を縁側の下に放り込んだおかげだったのではないかといいます。

当時同じく家にいた5歳下の頭蓋骨がへこむ大けがを負い、母親はガラスの破片などが体に刺さるりましたが、一命を取りとめました。

「母親はよくお腹の上をさしながら『コロコロしているな、触ってみ~』と言っていました。触ってみると、ガラスの様な何かがお腹の中にあった」

傷が治った後も母親の体にはガラスの破片が残ったままでした。