紙面を見た男性の目に涙…そして平和への思い

今年8月、京都新聞の記者は再び水口さんの元を訪れました。完成した紙面を渡すためです。
西陣空襲の被害を「軽微」と伝えた戦時下の記事を現代語訳した紙面の隣には、「京都新聞は空襲を隠ぺいした」と題して、実際の被害と報道内容を照らし合わせる大きな記事が掲載されました。
水口さんへのインタビューも、実際の被害を伝える証言として掲載されました。
「なんか、うるっとくるな。あんまり思い出したくないことまでね。しかしこれが現実やったから仕方がないわな」
当時の報道を振り返り、水口さんはこう語ります。
「(当時の報道に)みんな騙された。でもそれは仕方のないことだったと思うねん、僕は。(本当のことと)同じように言っていたら、すぐに手をあげなあかん」
さらにおよそ1年終戦が早ければ「西陣空襲」も無かったのではないかと振り返ります。
「1年ほど前に手をあげていたら、ナガサキ、ヒロシマというものはなかったし、おまけに京都の空爆もなかった。そういうことだと思うんよ」
戦争遂行に加担した報道が起こした悲劇を繰り返さない。そのためには、ひとりひとりが過去をしっかりと知る必要があります。
(水口さん)「こういう事実があったと知ってもらうのが第一。その次には、誰かこれを知らない人、若い方たちに知らせてほしい。心配なのは、今後の日本の平和。僕らが死ぬまでは平和やろうと思う、あと3年4年はね。がんばってや。みなさんががんばってくれないとね」














