取材を終えて

「80年前」というと、私の親が生まれるよりもはるか前。どこか遠い昔の時代のことのように思えます。しかし水口さんが語る80年前の出来事は昨日のことのように生々しく鮮明で、戦争がそれほど強烈で悲惨な体験だったのだと思い知らされました。また、お話を伺う中で、この先の時代が平和であり続けるのか、何度も心配されていた水口さん。戦争を知る方々はどんどん少なくなっていきます。

また、当時のメディアは、戦果の誇張を報じただけではなく、人々の生活様式や心持も「こうあるべき」という美徳を示し、縛っていきました。今ほど複数のメディアがない時代で、国民はこうした報道になびかざるをえなかったのではないかと感じました。未来の平和をつくるためにメディアとしてできることは何か。記者人生を通じて向き合い続けねばならない課題だと感じています。