果たされていない約束――あの時の写真は渡せないまま
高校を卒業後、食品関連のメーカーに就職した山本さん。22歳の時、大阪・千里で開かれた1970年の大阪万博に足を運びました。
大阪万博のスイス館は「光の木」と呼ばれる高さ21mの彫刻が特徴で、人気を集めたパビリオン。山本さんは大好きなカメラを片手に訪れました。
(山本龍彦さん)「光の木、そこを見に行ったら、横にスイスレストランがあったと思う。そのあたりでうろうろしていたらきれいなお姉さんが来られて、『一緒に写真を撮りましょう』と。次に来るときは写真を持ってきますと言って別れたんです」
スイスパビリオンでたまたまツーショットを撮影したのが、そこで働いていた「マーリス・ミューラーさん」。山本さんは「次に万博に来る時には写真を渡す」と約束をしてマーリスさんと別れました。しかし――
(山本龍彦さん)「次に行ったときはおられず、お休みかで、それっきりこれっきりなんです」
SNSも電子メールもない時代。山本さんは万博を再訪したもののマーリスと再会することができず、写真はいまも山本さんの手元に残ったままです。