長野県中野市で2023年5月25日、住民と警察官の男女合わせて4人が殺害された事件の裁判員裁判。なぜ4人もの命を奪ったのか。惨劇はなぜ起きたのか。傍聴した取材班が11日間にわたった公判を振り返る。
【傍聴記①】【傍聴記②】

「お母さんに会いたい」奪われた被害者家族の「日常」

9月24日から25日にかけて、遺族の意見陳述が行われた。奇しくも25日は事件から2年4か月目にあたった。

愛情深い母の存在、一家の大黒柱だった夫や父との思い出、何気ない夫婦の会話、親孝行への思い、孫とのふれあい…。遺族たちが語る言葉ひとつひとつに、突然「日常」を奪われた悲しみや悔しさがあふれる。