――遮光器土偶はなぜこのような形をしている?
(山田学芸員)なぜ目が強調されているかは分かっていません。「宇宙人ではないか」などいろんなことを言われますが、遮光器土偶が作られる前の時代の土偶は、実は目が小さく、徐々に大きくなっていき、遮光器土偶が作られる時代には目が巨大になりました。
また、土偶のほとんどは女性をかたどったものと考えられています。柔らかなフォルムだけではなくて、ときに胸や尻のあたりが強調されていたり、お腹が膨れているのは妊娠を表現していて、妊娠した時にできる「妊娠線」が表現されています。
――土偶にはどんな願いが込められていますか?
(山田学芸員)医療も今ほど発達しておりませんでしたし、子供が生まれるときに、母子とも危険で亡くなる人も多かったと考えられます。子どもが安全に生まれるように、健やかに育つように、といった願いが込められたと考える研究者が多いです。
また、女神の像として祈りの対象だったと考える研究者もいます。墓から出土しているものもあるので先祖を祀るものだったという説もあります。遮光器土偶が作られた縄文時代の晩期は、西日本の遺跡が少なくなり、東北地方で遺跡が多くできました。遮光器土偶は祭りの道具だった可能性もあり、祭りを大切にする文化ができた象徴が遮光器土偶ではないかという考え方もできます。














