そうしたアンテナを常に張り続けることで、友人から得た特大スクープもある。「もう10年来になる仲の良い友達が、ある時、当時渦中の人物だった方の昔の知り合いをたまたま知っていたんです」と、思わぬ“情報源”に遭遇。「妙に鮮明だった」という知り合いづてのエピソードの数々に、「嘘でしょ?!」と驚いたという。
「それですぐに後輩に裏を取りに行ってもらったら、その情報はやはり合っていました。プライベートの友達から、そうしたつながりを見つけたり、ネタが取れたりすることも、往々にしてあります」と振り返る
木曜スタート、火曜締め切り 『週刊文春』デスクの1週間

デスクの視点から、K氏に1週間の業務を説明してもらうと、そこには1週間で誌面を作り上げる週刊誌ならではの、タイトな流れが見えてくる。
「デスクの基本的な役割は、現場から原稿を受けて、その原稿を整えて記事として入稿することです。ただ、それに至るまでに、企画出しや、実際に企画が通ったらどう進めるかなどのディレクションもしていく。うちの編集部ではデスクも企画を出さなければいけないので、自分でも企画を探しながら、日々過ごしています」
編集部全体としての1週間の流れはこうだ。「木曜日に雑誌が出るので、基本は木曜日スタート、火曜日が校了です。木曜に企画会議をして、それぞれ企画を出し合い、それから現場は月曜までが取材。残りの時間で原稿を仕上げてもらい、火曜日に校了、水曜は休みという流れです」
スクープの“卵”である企画を出し合う会議で、デスクや記者が持ち寄らなければいけない企画の本数は、1人5本。K氏の班だけでも、所属する6人の企画の本数を合わせると30本。各デスクを筆頭とする班は複数あるため、週イチの編集会議で出される企画数は、優に100本を超える。
「みんなのプランを見て、『これは多分大きなネタになるから、取材班は大きめでやろうか』『じゃあ、取材は誰を書き手として、誰をキャップとして、その下に誰々をつけよう』と、編成の話し合いもして、それが終わったら、各人にその週の仕事を発注していきます」
K氏自らが取材に出向くこともあるほか、デスクとして進捗状況を管理。仮タイトル決めは週末中に行い、編集長に提出し、週明けには最終の見出しが決まる。原稿はリモートで書く人も多く、校了前日の月曜の編集部は「静まり返っていることも多い」とK氏。
それに加え、「紙だけでなく、『週刊文春電子版』というネット版も出しているので、電子版で先に出したほうがいい記事の場合は、即座に原稿を書いて出すという作業も、随時発生します」とも。