普通の日常を送ることで戦争に抵抗

神戸:戦時下で結婚式をやり、ミスコンテストまで開催している映像もありました。「戦争の真っ只中で、ミスコンを開催することほど強い抵抗はないだろう」という言葉も映画に出てきました。これだけの殺害が続いている中でも、日常生活を普通にやって見せてやる、という民衆の意思が感じられました。音楽もとても大きな役割を果たしていて、ライブもやっていたんですね、戦争中に。

関根:驚くべきことです。本当の地下バンドですよね。鉄の一枚板を剥がして地下に降りていって、安全なのでそこでライブができるわけです。若者たちが集って、こんな極限な状態だけど人生を謳歌しようと。その生きることこそ、生き抜くことこそ抵抗なんだ、というシーンも出てきますよね。

神戸:文字通り、命がけでライブ会場に行って音楽を聞いて、また命がけで帰る様子も出ていました。非常に印象的だったのは、「人生が残り5分だと言われたら、一番好きなことをするよな」という言葉が出てきたことです。自分が好きな音楽をこんな中でも聞くのだ、という強い意志を感じました。「いつの世にも、政治家に扮した弱い者いじめの悪党がいる」という言葉も出てきましたが、憎悪を煽って、敵を悪者に仕立て上げて、「彼らを我々が倒す約束すればいいのだ」という態度の政治家たちが出てきます。この人たちが戦争を起こし、日常生活がどんどん圧迫されていくのがよく分かるのは、かなり驚きでした。