万博をきっかけに日本でのビジネスチャンスを狙う海外企業。その動きに密着しました。 

 閉幕まで残すところ約3週間の大阪・関西万博。オランダ総領事とともにやってきたのは、首都アムステルダムに本社を置くベンチャー企業、「HYDRYX」の創業者、ヨーレン・タンヘルダーさんです。9月17日、オランダ館で行われたイベントに出席しました。

 (HYDRYX創業者 ヨーレン・タンヘルダーさん)「万博の建設中に起きた“スパーク”で、私は日本という国をより深く理解するようになりました」

 “スパーク”とは、去年3月に万博会場西側で起きたメタンガスによる爆発事故のこと。建物の天井にへこみができるほどの威力でした。これが来日のきっかけの1つだったとといいます。

 ヨーレンさんの会社は埋め立て地から発生するメタンガスの量を管理する装置を開発。オランダではすでに装置を活用し、埋め立て地のメタンガスを集めて発電する設備の実証実験を進めていて、ヨーレンさんは万博会場を含めた日本の埋立地でもこの製品のニーズがあるのでは、と考えたのです。

 (HYDRYX創業者 ヨーレン・タンヘルダーさん)「これは安全性が高く環境にも優しく、廃棄ガスを貴重な資源へと転換できるメリットがあります。日本はこの機会をまさに目の前に、そして“足元”に持っているのです」

 次の日、ヨーレンさんらは大阪湾へ飛び出しました。今まさに埋め立てが進んでいる最終処分場を見学するためです。ここでは一般家庭から出たゴミを燃やした後の灰を埋め立てているといいますが、メタンガスの発生は…

 (職員)「有機性の廃棄物は少ないですので、ガスの発生は非常に少ないと予測しています」

 万博会場・夢洲の埋め立てを管理する組合にも足を運びますが、夢洲も一般ゴミを燃やした灰を埋めているなどとして、現在発生するメタンガスは濃度が低いといいます。

 (職員)「(日本ではメタンガスを)たくさんの箇所で薄い濃度で拡散しやすくして環境への負荷を少なくしている。(メタンガスを)有効利用しようと思えば、たぶん集約して濃度を高くしてというようなオペレーションになるのかなと思いますけども、そこはちょっと発想が違うのかなと思います」

 メタンガスの濃度が低いために大気中に放出している日本に対し、メタンガスが出るなら活用しようというオランダ。考え方は異なるもののヨーレンさんは日本でのビジネスに期待を寄せます。

 (HYDRYX創業者 ヨーレン・タンヘルダーさん)「私たちのシステムは夢洲のような比較的古い埋め立て地でより効果を発揮しますが、そうした有機廃棄物がある埋め立て地はまだまだあります。関西の人々は(私たちと)異なる考えで新たなアイデアを持っている。だからこそ関西地域で連携を模索したいと思っています」

 万博は、海外企業が日本に進出する足がかりとなるのでしょうか。