ハンセン病患者の隔離・差別はなぜ続いたのか
(山本典良園長)
「今回、コロナが2類相当から5類になった理由。先ほど言った理由で何が当てはまりますかっていう風にちょっと考えてみたのですね。
1番、社会経済活動を進めるため。コロナは、どんどん感染が広がったのですけど、ハンセン病って1935年に患者数0.02%です。ほとんどいない。ですから、社会経済活動関係ないですね。
2番、子供の健やかな成長を願うという、これも関係ないです。
3番、医療費全額公的負担、予算圧縮のため。この予算も圧縮されません。
4番、保健所の行政機関の業務量を軽減させるため。これも関係ないですね。
では、5番、軽症で感染が広がっても問題ない。これだけですね、当てはまるのは。
では、皆さん、専門家は『コロナは怖い』っていっていますね。なぜ、軽症で感染が広がっても大丈夫だと思いましたかっていうことなのです。
これ、1番は身の周りにいる人が感染し、インフルエンザと同じように治った。その様子をみると、じゃあ、これはかかってもいいと思うのですね。
ハンセン病患者は、0.02%しかいません。周りにそんな人がいません。だから、怖い病気のままなのです。
今後、ハンセン病のような病気が起こった時に2類相当のままで5類にならないのです。今回、コロナが蔓延して5類になったようにはならない。
今回どういう声が上がって欲しかったかなっていうと、『患者さんの人権を守るために5類にしましょう』という声が上がりましたかっていうことですね。そういう声を皆さん聞きましたか?聞いてないですね。すると、繰り返してしまうのです。
病気による偏見、差別、誹謗中傷を繰り返して欲しくなく、感染者及び濃厚接触者に対して、たとえ少数派のままだとしても寛容な共生社会であってほしいということです。
コロナはもう3割、4割、皆さんがかかってきているんですね。3割4割かかると、いわゆる多数派になる。ハンセン病に罹患した人は0.02%しかいません。
0.02%を取るか、残りの99.98%の幸福を考えるか。99.98%の幸福を考えてしまったのです。それは、ハンセン病の患者さんの人権を守らなかった。感染者の人権を守らなかったっていうことですね」