辞任表明会見で明かした本音と無念さ
高柳キャスター:
9月7日午後6時に、辞任表明の会見が50分間にわたり行われたましたが、実際に現場を取材して、どのようなことを感じましたか。

中島哲平 官邸キャップ:
私は石破総理を取材して長いですが、総理になる前まで見せていた石破総理らしさや、本音というものがかなり垣間見えたような気がしています。
というのも、「衆議院の解散について検討していたのか」という質問をされた際に、「そういった考えがあったことについては否定しない」と言いました。普通、総理大臣が「解散を考えていた」ということは言わないのですが、ある意味吹っ切れていたのか、正直に話されたのだろうなと思います。
政権運営についても、「多くの人に配慮をして、党の融和を考えて、このような結果になってしまった。本当はどうしたらよかったのか」というようなことを言っていました。「自分のやりたいことをもっとやっとけばよかった」という無念さのようなものもかなりにじませていて、非常に本音を語った会見だったのではないかと思いました。
井上貴博キャスター:
“石破さんらしさ”に期待をした国民も多かったのではないでしょうか。中島記者の解説にもあった、会見での石破さんらしさをもっと早く出してほしかったと思います。
総理在任中は、“らしさ”は影を潜めていて、最後の最後、選挙に負けた後に石破さんらしさを出そうと腐心しているように感じました。それがむしろ、ポストにしがみついているように見えてしまったので、残念な気持ちもあります。

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
石破総理が党内野党として物言う姿を私達も見てきたので、自民党を変えるのではないかと期待をしていました。しかし、配慮の中でいろんな立場の人の意見を聞き、どうしようもない立場になり今に至るのだろうと思います。もっと早くから石破さんらしさを出していただきたかったです。
出水麻衣キャスター:
辞任を決めた要因として、菅副総裁の存在や投票に関して党内が分裂したことなど、色々なものがあったと思いますが、中島記者の取材では一番の決め手は何だったと思いますか。
中島哲平 官邸キャップ:
二つあると思います。菅副総裁たちと面会をしていましたが、菅副総裁も岸田前総理も、総理在任中に最後は自ら退陣を決めたことにより、その後も自民党内で影響力を残すことができました。引きずり下ろされて辞めるのではなく、出処進退を自分で決め、政治家としての矜持を示すことで影響力を残すということがまず一つ。
また、本来9月8日に行うはずだった自民党総裁選の前倒しの意思確認についても、賛成が半数を超えそうで、臨時総裁選が行われる見通しになってきたために、追い込まれた面もあると思います。