カキの養殖は、生育過程によって最適な海水温が変わるため、非常に冷たい深層水よりも温度の高い海水も必要です。そこでジーオー・ファームが目をつけたのは、県の研究所で行う、太陽光によって温められた表層水と、深層水の温度差を利用した「温度差発電」に使用された後の海水でした。

「温度差発電」後の海水を有効利用

「海洋温度差発電で発電した後、きれいなままで富栄養性も保たれていて、水温だけ上昇している、その海洋深層水をカキの陸上養殖に使わせていただく」

水を加熱するエネルギーを使うことなく、養殖に有効活用する取り組みは、SDGsの目標にもつながっています。

「陸上養殖は通年の安定供給が可能です。自然の環境に左右されることなく、品質も安定したものを生産し続けることができる」

海水の高温化などが影響し、1988年の27万トンをピークに年々生産量が減っているカキ。近年の生産量は15~17万トンで推移していて、鷲足さんたちはさらなる流通の活性化に向けて、資金集めに奔走しています。

資源を有効活用しながら養殖されるカキ

【取材後記】
一口食べると、甘みが強く、噛めば噛むほど旨味が口の中に広がるジーオー・ファームのカキ。ここで養殖されたカキを食べて食中毒になった人は私を含めこれまで1人もいないそうです。「安全」という付加価値を持つ高級食材として、島の産業の柱となり、島の未来を支えることが期待されます。(神里晏朱)