喜屋武さんは今年、事件を生き延びた兄妹で慰霊祭に参加

▼喜屋武盛宜さんの妹・美智子さん
「一緒に死んだ方が良かったといつも思っていた。今は子どもにも恵まれているからありがたい…」

――(対馬丸に乗って犠牲になった)お父様に何か伝えたことは?

▼喜屋武盛宜さん
「俺もいくからなと。ただそれだけ」

国策に翻弄された子どもたち。慰霊祭で多くを語らなかった喜屋武さんの言葉には、静かな怒りが込められていました。

「騙されたんだから、子どもも。将来は兵隊さんになるといって。子どもを騙すのは簡単だ。政治家は」

犠牲となった子どもの遺影を見つめる喜屋武さん(対馬丸記念館)

「苦労したが、苦労も楽しい。生きていたら。それができなかったのは(犠牲者は)可哀想だなと思う。すまんという気持ちがある。生きている間はここに来るよ」

戦争によって奪われた子どもたちの未来。生存者が背負ってきた心の痛みは、今も消えることはありません。