■止まらないロシア軍の活動

ウクライナ侵攻を開始した今年2月からは、日本周辺での活動をさらに活発化させた。

2月1日、ロシア国防省は「ロシア東部の海上交通と海上経済活動区域の安全確保任務への習熟」を目的として、太平洋艦隊の戦闘艦艇など約20隻が、日本海とオホーツク海において演習を実施するために出港したと発表。
海上自衛隊は実際に、1日以降、日本海やオホーツク海の南部で活動するロシア海軍の艦艇24隻を確認したと明らかにした。岸防衛大臣は「ウクライナ周辺におけるロシアの動きと呼応する形で、ロシア軍が東西双方で同時に活動しうる能力を誇示するためと考えられる」と見解を表明。また「ロシアの戦略原潜(=原子力潜水艦)の活動領域であるオホーツク海の軍事的重要性の高まりを背景とした活動の一環だとみられる」と述べている。

今月に入ってからも、ロシア軍の動きは止まらない。
3月2日には、ロシア国籍と推定されるヘリコプター1機が、北海道の根室半島沖で日本の領空に侵入。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進を行い、通告・警告を行った。
3月10日には、ロシア国防省が、「クリル」諸島(北方領土及び千島列島)において、択捉島と国後島に配備されているSー300V4地対空ミサイルの発射訓練の実施を公表。
先に記した演習に参加していたと思われる艦艇も、相次いで津軽海峡や宗谷海峡を通過しており、政府は、外交ルートを通じてロシアに「関心表明」を行っている。


■“かつてない頻度”で“烈度の高い”北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮の軍事動向からも目を離せない。

北朝鮮は今年に入ってから、「巡航ミサイル」や「失敗」といった報道を含めると、すでに10回(※3月18日時点)もミサイルを発射。今年1月に4週間弱で7回も発射した際には、岸防衛大臣が「かつてない頻度」で「烈度の高い」ものだと表現した。

中には、ICBM=大陸間弾道ミサイルも含まれていた。
ICBMは約5500km以上の射程を持ち、日本を越えアメリカにまで到達する可能性がある。
防衛省は、北朝鮮が2月27日と3月5日に発射したミサイルについて、当初「偵察衛星」に関する何らかの試験を行った可能性があると発表。しかし今月11日にアメリカ政府とともに、更なる分析の結果、いずれもICBMであったと明らかにした。2020年10月に北朝鮮が実施した軍事パレードで披露されたものと同じだという。バイデン政権高官は「北朝鮮が宇宙開発を装って最大射程範囲の発射実験を行う可能性がある」と警戒感を示す。

故・金日成主席の生誕110周年を迎える来月15日までに、新型のICBMを発射する可能性も危ぶまれる中、防衛省は「強固な日米同盟のもと、高度の警戒態勢を維持する」としている。