勤労感謝の日、イェール大学助教授・経済学者の成田悠輔さんがスタジオ生出演。成田さんは「そもそも働きたくない」そうですが、働き方が多様になっていく時代。若者、中高年、それぞれ不安を抱えています。成田さんは「不確実な世界に変わっちゃった」「自分だけが辛いわけではなく、日本人みんなちょっと不安、人類みんなちょっと不安というくらいに思っておけばいいのでは」と語りました。


■“10年以内に転職” 変わる若い世代の働く意識

小川彩佳キャスター:

まずは若い世代の意識についてのデータを見ていきます。

「2022年新入社員 今の会社であと何年くらい働く?」(マイナビ転職 調べ)
・3年以内:28.3%
・4~5年くらい:13.8%
・6~10年くらい:8.9%

・10年以上:8.0%
・定年まで:18.5%


国山ハセンキャスター:
10年で区切ると、10年以内の退職予定が51%、つまり半分以上が転職を考えているということになります。私も転職を公表してるんですけれども、ちょうど10年目なのでそこで決断したという形で…

イェール大学助教授・経済学者 成田悠輔氏:
何か不満が?

国山キャスター:
そんなことはないです…

小川キャスター:
終身雇用が当たり前だった時代と比べると、ずいぶん意識は変わったという感覚はありますよね。

成田氏:
ここ10年ぐらいで一気に変わりましたよね。僕は大学を卒業したのが2009年ですが、その頃はまだギリギリ終身雇用の古い日本社会の残滓というか遺産が残っていた時期だったと思うんですよね。2010年代になってから一気に日本社会・日本経済は変わったなっていう印象がありますね。

国山キャスター:
1つの会社でずっと働くとは思わない理由にこういった答えがあります。


「ずっと働くとは思わない理由は?(複数回答)」(マイナビ転職 調べ)
・ライフステージに合わせて働き方を変えたいから:30.7%
・給料がいまいちだから:27.5%
・いろいろな会社で経験を積んでいきたいから:26.8%
・転職でキャリアアップしていきたいから:26.8%
・仕事がハード/厳しそうだから:19.9%

■いまの会社、30年後にありますか?年功序列に期待できない若い世代

国山キャスター:
日本は転職によって給料がアップする環境が整っているんでしょうか?

成田氏:
どちらかというと1つの企業にずっと勤め上げても報われなくなってるという側面の方が大きいんじゃないかと思うんですよね。昔は同じ会社にずっといれば、その会社の中の事情が段々と良くわかっていって、ほぼ間違いなく段々と役職も給料も上がっていくという感じで、何が起きるかわかりやすかったと思うんですよね。

今の社会だと1つの企業にずっと勤め続けていると、むしろその企業の業績が悪くなったらどうなるのか、他の会社に行ったら通用しなくなるんじゃないかという心配の方が大きい。だから転職するのが自然な流れとして、転職を考えざるを得なくなってるという感じが強い。

国山キャスター:
社会構造で見ても、上の世代の方が数は多い。1つの大きな企業で見ても、上の人の数が多いので、上司の数が多いから、なかなか自分は出世できないんじゃないか、若い人が活躍できないんじゃないか、という声もあると思う。

成田氏:
今の中高年の人たちは、まだ年功序列で賃金も上がっていく、というスタイルで働いていて、正社員の方が多い。そうすると、その人たちの給料はすごく高いということになるので、若い世代は相対的に不利なポジションに置かれがち、というのはあると思うんですよ。

昔だったら、若いうちは不利なポジションに甘んじていても、30年たったら報われると期待できたと思うんですよね。だけど今だと30年経つと、その会社があるのかどうかもわからない

国山キャスター:
アメリカの場合はどうなんですか?

成田氏:
そもそもアメリカの場合は日本みたいな「しっかり保護された正社員」という仕組みはない。今話題のTwitter社や、他のIT企業みたいに、業績が悪くなるとクビになるのも仕方ないという仕組み。そうするとみんなが転職するということを常に念頭に置きながら仕事をする。もし他の会社で、今よりも給料が高かったり、より働きやすい環境があったりしたら、転職したり、あるいはそれを材料にして今の会社と交渉したりするのが普通。大学の先生でさえ、それが普通なんです。他の大学から引き抜きの誘いがあると、それを使ってガンガン給料交渉して。人によって給料やタイプが違う。