熊本市に住む女性が、警察官などをかたる人物に約4700万円をだまし取られ、警察が詐欺事件として捜査を始めました。

被害に遭ったのは熊本市に住む80代の女性です。

警察によりますと、7月中旬から下旬にかけて「東京中央警察署の警察官」や「検察庁の職員」をかたる電話が女性の自宅にかかってきたということです。

その人物は、「あなた名義の口座などが犯罪に使われている」「その口座の預金が暴力団に狙われていて、紙幣番号を調べないといけない」などと女性に伝え、自宅の前に現金を置くよう指示しました。

女性がATM(現金自動預払機)で現金を引き出し、自宅の前に置くと、しばらくして現金がなくなっていたということです。

女性は、その後も同じような手口で、7月末までに合わせて約4700万円をだまし取られました。

警察官などを語る人物は「金は8月6日に返す」と話していましたが、返金されなかったため女性は次第に不審に思い、おととい(8月19日)になって詐欺だと気付いて警察に被害を届け出ました。

警察は詐欺の「受け子」が被害者と顔を合わせずに現金を受け取りに来る特殊詐欺とみて、周辺の防犯カメラなどから犯人の特定を進めています。

熊本県内ではこうした特殊詐欺が増えています。

熊本県警によりますと、今年1月から7月末の被害届は77件で、16件だった前の年の同じ時期と比べて60件以上増加しています。そして被害総額は前年同期の2億6000万円から5億5000万円へ2倍以上に増えています。

警察は、高齢者に対し
・知らない電話に出ない
・不審に思ったら一人で悩まない
・あれっ?と思ったら家族に声をかけ相談してほしい
と話しています。

一方で、若い世代に対しても「昔は固定電話での特殊詐欺が多かったが、最近は携帯電話にもかかってくるので、被害に遭うのは高齢者だけではない。知らない番号や非通知の番号、+から始まる国際電話には出ないように」と呼び掛けています。