2021年11月29日、イチローさん(48・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、秋季高校野球東京大会で優勝し、来春のセンバツ出場が確実視される強豪・国学院久我山(甲子園春夏出場6回)で、選手指導を行いました。高校球児を指導するのは、2020年の智弁和歌山高校に続き、2年連続。憧れのイチローさんから学べる絶好の機会とあって、球児たちからは様々な質問が飛びました。
(追記:国学院久我山は2022年3月のセンバツに出場し、初のベスト4入りを果たした)
心をつかんだ手紙 宛名は「鈴木一朗様」

午後3時、グラウンドに姿を現したイチローさん。引退した3年生と野球部員、集まった82名に語りかけました。
「はじめまして、イチローです。ここに来た理由はこれですね」
肩に掛けたバッグからイチローさんが取り出した手紙。それは、今年1月、今夏をもって引退した3年生の田村優樹さん(当時2年)が、同学年22人に呼びかけて送った、その手紙でした。
イチローさん:すごく気持ちの伝わってくる手紙を頂いた。もらったこの状態で、僕のシアトルの自宅にずっと・・・大切なものが入っている引き出しがあるんですけど、そこにずっと大切に保管しています。
今回の訪問実現にあたり、イチローさんの心を大きく揺さぶったことー。
イチローさん:(手紙に書かれた宛名が)『イチロー様』じゃなかったのが良かったのよ。どういう判断だった?
手紙の宛名は“鈴木一朗様”。イチローさんの本名がしたためられていました。その理由について、手紙を送ることを提案した田村さんは・・・
田村さん:しっかりとした形式で、本名のほうが、やっぱり気持ちが伝わるかな、と思いました。
イチローさん:なるほどね。ありがとうございます。
心のこもった手紙ですが、イチローさんには、ちょっと気になったことが。
イチローさん:(手紙をもらった22人の中で)めっちゃ小さい字の子がいたよ。めっちゃ字の小さい子が・・・。
尾崎直輝 監督:真野じゃないすか?
イチローさん:あっ、そう、そう真野!(監督・球児一同、大爆笑)
みんなが真野選手を指さすなかで、イチローさんも真野選手を笑顔で指さしながら・・・
イチローさん:ちっちゃい!字が。(もっと大きくないと)字には性格が出るからさ~。真野くんでした。
“イチ流”の走塁

グラウンドが一気に和んだところで、練習を開始。身振り手振りで指導するイチローさんに、1人、2人と集まれば、次々に集まる部員たち。もはや“全員集合”です。
生徒たちの熱い眼差しに、イチローさんも全力で応えます。走塁の練習では-。
イチローさん:腕振れって言われると、こうやって(身体の前の方で)振るでしょ?前の方で振る人が多いよね。そうじゃなくて、後ろ。(背中の後ろの)肩甲骨で引っ張る感じ、それで進む一歩が大きくなるんだよね。特にスピードを求められる人は、“もう一歩”をそれでカバーできる可能性が充分にある。
バッティング練習では自ら、いまだ衰えぬレジェンドの技術を披露。大きな飛距離で柵越えを連発すると「うわーやばい」「あぶないー」「エグイっ」と部員たちが目を輝かせます。