■相談窓口からも“裏切り”…「どうしようもない組織だなって」

自衛隊のハラスメント対策に裏切られたという人は多い。元自衛官の女性Cさんは上官から数々の暴言を受けたという。


元航空自衛官Cさん
「『絶対退職しろよ。もう雑魚だよ』とか、そういうのも」

職場へ行こうとすると手の震えが止まらなくなり、休職したという。部隊の幹部に訴えたが、調査は進まなかった。追い詰められたCさんは、防衛省のハラスメント相談窓口に助けを求めた。

しかし、相談員は…

元航空自衛官Cさん
「あくびをしたりとか、半分目をつぶった状態が一瞬あったりとか。早く終わってほしいみたいな」


「相手にされていない」。そう感じたCさんの体調はさらに悪化。母親が代わりに電話で相談したが…

Cさんの母親
「これいつになったら解決するんですか?」

相談員
「調査中とは聞いているのでうちは調査の過程・状況を確認するくらいしかできない」

Cさんの母親
「母・娘と一緒にいた部隊の中で自殺者が出たんです、パワハラで。同じことになったらどうなるんですか」


Cさんもまた、失意のうちに退職した。

元航空自衛官Cさん
「最初は部隊に対して裏切られたなと思ったから、防衛省のホットラインを使って打つ手を打ったんですけれども。そこからも裏切りがあったりとか、なんかもうどうしようもない組織だなって」


事情に詳しい弁護士は、対応するのが内部の職員であることを問題視する。

佐藤博文 弁護士
「対応する窓口はあるが、結局、各部隊に『こういう申告があったよ、だから調査しなさいね』っていうぐらいしか言わないわけですから実効性がない。それをちゃんと受け止めて『それはダメだよ』という第三者性を持った専門的な人が(対応を)やらないとならない」



11月15日、浜田防衛大臣に聞くと…

村瀬キャスター
「被害者の方は口をそろえて『防衛省・自衛隊内部の調査は信用できないんだ』という風に言っています。こういった声に対して大臣はどういう風にお考えでしょうか?」

浜田靖一 防衛大臣
「いかにしてこういったもの(ハラスメント)を根絶していくかということを、明確にしながら、我々組織として大変大きな問題でありますので、そういう認識のもとに今後活動していきたい」


■「ダメなものはダメ」 ハラスメント研修で幹部自衛官らが議論

そんな中、11月18日。

村瀬キャスター
「こちら防衛省本部の建物の中です。こちらの会議室でハラスメント防止教育と書いてありますけれども、自衛隊幹部に向けた研修がたった今、行われているところなんです」


2021年から始まった陸上自衛隊の「ハラスメント防止教育」。外部講師が具体例を説明し、幹部自衛官が議論を交わした。

男性自衛官
「戦場で命令で動いて、厳しいところも命令していかないといけない。それをハラスメントと思われると違うところもある。任務達成のための命令と、人を尊重して大事にするというところをしっかり切り分けていかないといけないのかなと」

また五ノ井さんの事案を念頭にセクハラ対策についても話し合った。

外部講師
「よくこういうこと(セクハラ)があったという記事出ますよね、今までもね。管理者として誰も分からなかったのでしょうか」

男性隊員
「管理者としてではなかったとしても、それをちゃんと言える雰囲気じゃないとしても、ダメなものはダメ」