「社会に絶望しました。誰のことも信用できません」
母親が被害者の娘に、この報告書の内容の一部を伝えると一言呟いた。
「えっ?認定したんや」
悲しいような、怒っているような、呆れているような表情をして、その場を離れたと母親は語っていた。
被害女性本人が第三者委員会に宛てた手紙には、こう記されている。
「私は公の機関なら当然助けてくれるだろうと思っていましたが、これが大人のすることなのか…と社会に絶望しました。誰のことも信用できません。こんな大人にはなりたくないと強く思います」
今もPTSDの症状に苦しみながら、時折涙が自然と溢れ、「いなくなりたい」と思ってしまうこともあるという。
信頼していた先生ら学校も、そして警察も。手を伸ばしても誰も握り返してくれなかった社会への絶望感はいかばかりだったか。救いを求める生徒に寄り添い、助けるのが学校であり、警察ではないのか。
いじめ重大事態と認定されても、被害女性の時計の針を戻すことはできない。でもこの一歩で、彼女に少しでも光が差すことを願わずにはいられない。
【CBCテレビ論説室長 大石邦彦】