遅い飛行機まで特攻に・・・ 零式水偵がたどった悲劇
凱旋を終えた龍三さん、そして零式水偵には、ともに悲劇的な運命が待っていました。

アメリカ軍機に取り付けられたカメラには零式水偵が攻撃され、機関銃の弾が命中する映像が。
零式水偵は大きなフロートがあるためスピードが遅く、敵の戦闘機に見つかるとすぐに撃ち落とされてしまうのです。
アメリカ軍の報告書にも、こんな記述が…
「零式水偵は遅かった」
この足の遅い零式水偵を軍は無謀な作戦に投入していきます。
小関さん
「こんにちは」
小関さんは、その様子を見ていた人を訪ねました。
指宿基地の近くで育った大吉通子さん、95歳。

大吉さんは、ある日、知り合いの女性からこんな話を聞きました。
大吉通子さん
「若い男の子が『僕は明日向こうに飛んでいくんだよ』、『爆弾を積んでいったんだよ』とかね」
「飛行機の音がし出したら外に出て、ハンカチを振って見えなくなるまで一生懸命振った」

何と軍は、偵察が任務だった水上偵察機を特攻に使いはじめたのです。戦況の悪化で、特攻に使える飛行機が足りない状況でした。
大吉通子さん
「まだ10代のはず、かわいそうにってね。特攻という飛行機があるんだっていうのを実感として知りましたよ」