奈良県の観光名所「屯鶴峯」(どんづるぼう)の下に「巨大な地下壕」が残されていました。誰が何のために掘ったのか…防衛省の資料と旧日本兵の証言から“知られざる戦争遺跡”に迫りました。戦後80年、地元に残る戦争の痕を後世に伝えようとする人たちがいます。

陸軍の巨大地下壕 中に入ると…

 奈良県香芝市。大阪府との境にある山の中腹に白い岩肌が露出している場所があります。その正体は火山活動によって堆積した火砕流や火山灰。まるで「鶴」が「屯」(たむろ)しているように見えることから「屯鶴峯」(どんづるぼう)と呼ばれる観光名所となっています。

 この下に巨大な戦争遺跡が眠っていることはあまり知られていません。

 地元で教師をしていた田中正志さん(66)。その戦争遺跡を語り継ぐ活動をしています。

 田中さんの案内でうっそうとした獣道を登っていくと、ぽっかりとあいた暗い入り口が現れました。

 (NPO「屯鶴峯地下壕を考える会」田中正志さん)「ここは戦争末期に陸軍が作った地下壕です」