台風去ったあと自宅跡に骨が二体… 原爆が中学2年生から奪った“家族”と“感情”

自宅にいたはずの父親と叔父を探すため、市内中心部に入ったのは、翌日のことでした。

河田和子さん
「道路は足の踏み場もないくらい遺体がありましたから、またいでまたいで通る。今ならできませんけど、平気で、またいでね。そして、ひっくり返して……遺体をひっくり返して見たことだけは覚えてるんですけど、なんにも怖さを感じない。13歳ですよ」

家族を探し歩き、1ヶ月経ったころ。被爆間もない広島を台風が襲いました。昭和の三大台風の一つ「枕崎台風」です。

台風が去ったあとすぐ河田さんたちは自宅があった場所を訪れました。そこで目にしたのは、すべて流された跡に遺された、二体の骨でした。

「あんなにみんなが探して掘ったりして探したのに、枕崎台風のおかげできれいに流されてね。骨がふたつ、ちゃんとあったんです。持って帰って弔おうとした日に、私と母は本当に抱き合って、初めて泣いて泣いて、泣いて過ごしました」