長野県上田市にある「無言館」の館主・窪島誠一郎さんは、戦後80年を迎えた今年、ある一冊の絵本を出版しました。絵を通じて深まった日本兵と中国人との友情、そして、戦争の悲惨さを後世に伝えます。


木々に囲まれた小高い丘に建つ上田市の無言館。太平洋戦争などで戦地に散った画学生およそ140人の作品を展示する美術館です。


恋人、家族、風景。出征が迫る限られた時間の中で描かれた、様々な絵画が並びます。


館主を務める窪島誠一郎さん83歳。

太平洋戦争が始まった1941年に東京で生まれ、30年ほど前から、全国各地から戦没画学生が遺した作品を集めています。


(伊澤洋・作「風景」について)「召集令状を受け取ったその直後にここに行って描いた絵、現実の道はここに川があるわけではない、普通のあぜ道。自分にとってのあした、将来の道を象徴するように、ここで道が止まっているのか、先へ行けるのか幻のように描かれている」

開館から今年で28年ー。
絵を前にした人は思わず息を飲み、訴えかけてくる声なき声に耳を傾けます。


「赤紙を貰って最後の絵というより覚悟の絵ですよね。たとえ技術的に未熟であっても、これが自分の絵だっていう。館内にある独特の緊張感はその覚悟の緊張感かもしれないですね」

戦後80年の今年窪島さんは一冊の本を出版しました。