■「そこで戦っていくには根性しかないんです」

「るろうに剣心」シリーズでは「途中、物理的に立てなくなった」というほどのハードなスケジュールをこなして“日本映画史上、最高峰のアクション”と言われるバトルシーンを作り上げた佐藤。役作りへのストイックな姿勢は、26歳の時に主演した日曜劇場「天皇の料理番」でも伝説を生んでいた。

それが、当時も大きな話題を集めた圧巻の包丁さばき。この作品で天皇陛下に仕えた料理人・秋山徳蔵を演じた佐藤は、役作りのためクランクイン1年前から調理学校に通い、猛特訓を重ねたという。

「『天皇の料理番』の台本があまりにも素晴らしくて、この役に向き合う意味と価値が絶対にあるな、と思えたので頑張れた」と当時の思いを振り返った佐藤。この作品で徳蔵の兄・周太郎を演じた鈴木亮平が語った「健のあの包丁さばきに負けるわけにはいかないと思った」のコメントが紹介されると、「けっこう僕も、亮平くんにシンパシーを感じているところがあって」と、役者としての本音を語り始めた。

「同年代にすごい俳優たちがたくさんいるんですよ。1、2、3歳から芝居している人たちと同じ土俵に立って演技しろって言われたら、勝負にもならないというか、無理なんですよ。僕も、たぶん亮平くんもどこかでわかっていて、とはいえ負けたくないんです。だから、そこで戦っていくには根性しかないんです。スキルで勝負できないから魂で勝負するしかない」。そして、林の「仕事で勝ち負けは意識しますか?」の問いに「しますね」と頷いた。