企業・経団連が行うべきこと
最後に、経団連の役割を聞いた。

経団連・筒井会長:
「時代が大きく変遷している中で、経団連のあり方は産業課題を徹底的に突き詰めていくこと。ただ産業課題を追い求める中で、社会課題に対しても常に配意しながら進めていく必要がある」
――社会課題に企業が適切に対応していくことが、資本主義の持続性につながる?
「ステークホルダー資本主義は、言い換えればサステナブルな資本主義であり新しい資本主義。自社の利益追求だけではない、株主の利益追求だけでもない、様々な社会の中での影響を考えながら企業は経営していくべき。そこがベースにあると思う」
――人への投資をしっかりやることが第一歩と。
「人への投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション=化石燃料中心の経済・社会・産業構造からクリーンエネルギー中心へ移行)、地方創生と様々な社会課題に配意しながら多様性の時代に多様な視点を持って経営に当たらなければいけない。経済界を牽引していかなければいけない時代だと思う」
企業が「投資」の他にすべきことは?
取材を終えた播摩卓士キャスターが、一番強く感じたのは「賃上げへのこだわり」だという。
――好循環の起点を賃上げにしなければいけないと。今物価高が来ているので賃上げを追いかけている格好だけど、逆にしななければと。そこは説得力があった。

慶応義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆりさん:
「今、PBR(株価純資産倍率)を上げなければという風潮を政府が作っているが、日本の企業はアメリカに倣って自社株買いをすごくしている。ただアメリカの企業は自社株買いもするが、設備投資も研究開発費も投資する。日本はそこがすごく足りない。なので自社株買いをするよりも、人への投資や賃上げ、設備投資、デジタル投資をするということを経団連としてぜひ話してもらいたい」
――投資を拡大していくこと以外で日本企業に今問われていることは?

白井さん:
「日本の中だけで見ていてはいけない。日本の政府に何かをしてもらいたいという要望よりも、世界の市場を相手にして世界で成功していく。その中に日本があるという発想で企業自体がもっとオープンに国際化して欲しいと思う」
(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年7月26日放送より)