トランプ関税妥結で「夏休みの難問を早々に片づけたようにみえるが…」

9月の下旬に国連総会があります。合わせて通例ですと外務防衛担当閣僚の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2っていうのがあるんです。アメリカはGDP比で最終的に27年度で2%っていうことで、23年度から日本は始めているんですよ。ところが、コルビーというアメリカの政策担当の国防次官が防衛費をGDP比で3%と言い、中谷防衛大臣に対して本当は言いたいんだけども、その手前の事務方の局長級あるいは防衛審議官クラスの会合で、実はもう3.5%にして欲しいと言ってる。ただ日本は「オフィシャルな会談で言わないでくれ」ってずっと封印してるんですよ。それは参議院選挙があるからです。

ところがアメリカはもうしびれを切らして、「いやいや7月1日に2プラス2を開いて、そこで俺たち言うぞ」って言ったんですよ。だったらやめてくださいってなって2プラス2が流れたと。

ということで、もういい加減しびれをきらしたアメリカは何をしたかというと、イギリスのフィナンシャル・タイムズに「日本が2プラス2を蹴った。俺たちは3.5%を要求してるんだ」ってことをリークして、もう日本のメディアでも報じられてるわけ。これは非常に重要なことだから本来参院選でこういうのはね与野党で議論すべきだったんですよ。でもこれはみんな口をつぐんでいる。でもそれは9月の国連総会に連動する2プラス2で、アメリカはかなりの確率で私はオフィシャルに言ってくると思いますね

ーー与党は参院選で惨敗したけども、そのときまでは今の体制でやってくれないと防衛費の問題っていうのは余計難しくなるとアメリカは思ったかもしれないですか。

久江雅彦氏:
そうですねこれは明示的なディールのカードじゃないですけれども、やっているルートは防衛とこの通商問題は違うんですが、少なくともトランプさんとこに集まってくる中で、これから日本は防衛力を強化していくというような話が、結果として大きな取引の中の1要素を占めると思うんですね。

ーー日本としては別問題だと言ってずっとやってきたわけですが、今回の“トランプ関税”で少し下がったからいいやと思っていてはいけないということですか。

久江雅彦氏:
別問題ではないし広く見たら、夏休みの難問(トランプ関税)を早々と片付けたように見えますけど、もっととんでもない宿題(防衛費問題)が今度きちゃうわけですよ。

これを総裁選含めてどういう政権ができるのかっていうことと、この防衛費の話っていうのは、一見別のようですけども、極めて密接にリンクしているので、そういう意味においては石破さんが8月中に辞めるのか9月の第1週ぐらいに総裁選が開かれるのか、この時期とこの2プラス2、あるいは今後の対米関係、実は非常に密接にリンクしてくるんですね。