なぜ「日本人ファースト」は一部の有権者に刺さったのか 背景に円安も?

井上キャスター:
参政党の躍進についてJX通信社の代表取締役・米重克洋さんは、参政党が反石破・親安倍・反民主の保守層と、インバウンド客らに不満を感じる人々“受け皿”になったためではと分析しています。

JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
今回参政党に投票した人の内訳を見ていくと、石破内閣に対してはすごく否定的なんだけれども、かつての安倍政権はすごく肯定的に評価をしているという傾向が見られます。

同時に、野党の中でも旧民主党政権に対しての評価が一番低い。これらの特徴をまとめると、元々安倍政権のときには自民党支持層だったような方々の一部が、参政党に大きく流れていっているということがうかがえます。

同時にそういった人たちに対してアピールする一つの材料として、外国人に関する政策を打ち出して、それが届いた部分もやはり大きいのではないかと思います。

振り返ってみると、日本は物価高の中で円安が非常に進んでいると。円安になっていくと外国人の方、インバウンドがたくさん入ってきます。
彼らは例えば1食5000円のラーメンや、1泊10万円のホテルも本当にカジュアルに手を出すことができるわけです。

一方で、日本人は円安がコストプッシュ型のインフレということで、まさに物価高に直結をしていく。

日本人は生活が苦しいのに、外国人はすごくリッチな感じに見える。その中でマナーが悪いなど、個人的な体験も含めて経験をされてる方、見られてる方がたくさんいるんだと思います。

今SNSでも「迷惑外国人」といったテーマの投稿がすごくバズりやすい傾向があるので、そういったことでなんとなく「外国人ちょっと多すぎなんじゃないか」みたいな社会的な雰囲気も充満をした。そこにこの「日本人ファースト」というキャッチコピーはかなり刺さった。結果として保守層を取り込むような材料になってるのではないかなと考えてます。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
「外国人」や「日本人」と大きな主語でひとくくりにすることの善し悪しは避けたいものの、やはりそれがわかりやすかった。

つまり、神谷さんがおっしゃってることをしっかり読んでいくと、教育に関することや、外国人といっても実はこういうことで…など詳しく書いてある。そのことに対して、皆さんがどのように感じたかという結果だったと思います。

今回の選挙で良かったことは、どのような方でも「投票しよう」と思うようになったことは、大きいと思います。心理的に考えれば、無関心な人にどうやって好奇心を持たせるか、というのは一番難しい最初のステップです。

どんなことであれ、自分の考えていることと同じことを言っている人がいる。それだけでも、もうちょっと政治を知りたいな、その知りたいというものに対してアクセスできたことは大きいんだなということは思いました。

井上キャスター:
もちろん差別や排外主義には反対です。一方で「日本人ファースト」という言葉を聞いて即「これは差別だ」と過剰反応するのは、個人的に違和感があります。

綺麗ごとに聞こえるかもしれないですが、最終的にどのような相手であっても対話を諦めては駄目な気がします。それを排除したら駄目だし、だからこそ、我々テレビ報道も結果的にそこに与していることはないか、ということを自問自答すべきだと思います。

だから、ウルヴェさんもおっしゃったように、外国人というくくりが大きくなりすぎることの怖さもある。そこをどう考えていくのかは、これからの課題でもあるのかなと感じます。