急増の背景に”温暖化”

福岡県農林業総合試験場 病害虫部長 石井貴明さん
「原因の一つは温暖化。普通、年に1回世代が回ると言われているんですが、この非常な高温で早く育って2回回ってるとも言われていまして、それで数が増えて、そのまま冬越しする。そういう形で次の年も数は多くなってきている」

イネカメムシは1950年代まではイネの主要害虫でしたが、当時の農薬の影響で激減し、1970年代以降はほとんど確認されなくなっていました。
しかし、温暖化などの影響で、ここ数年は年に2回繁殖し、多くの個体が越冬することで急増しているのではないかと、県の担当者は推測しています。
無事収穫できるか不安も
福岡県農林業総合試験場 病害虫部長 石井貴明さん
「(2020年と比べて)10倍から50倍、100倍ということもありました。ここ数年多いということで非常に我々も警戒をしている。数の推移を追いかけながら適宜必要であれば注意報、警報という情報を速やかに、適時に出していく」

コメ農家に大きな被害を与えるイネカメムシ。
近年の異常な暑さによっても収穫量が減少する中、さらに肥料や農機具も高騰。
コメ農家にとっては、厳しい状況が続いています。

コメ生産者 林耕作さん
「イネカメムシが原因であったり、高温だったり、台風。全部の要因で収穫量は減っていくので収穫量も減ったら手取りの収益も減るし、収入減につながります。(対策を)やったからといって、被害がゼロになるわけではない。本当に無事収穫できるかは、常に不安でしかない。」
ピークは8月
福岡県によると、県内で捕まえられたイネカメムシの数は5年前は「10」とほとんどいませんでしたが、徐々に増え始め、去年は「1359」と一気に増加しました。
イネカメムシのピークは8月ということで、今後、増える可能性があるとして生産者や県は警戒を強めています。