日本で脈々と受け継がれてきた「伝統工芸品」。生き残りが困難になる中、工芸品を「アート」にして海外市場に売り出そうという動きが広がっています。
一筆一筆、丁寧に運ばれる筆。観客の前で、「感謝」の2文字が書き上げられました。
書道家・武田双雲さんの展覧会が都内の百貨店で開かれています。
きのう、会場を訪れたこの男性。金沢市で400年続く技術を受け継ぎ、金箔を作る会社の浅野社長です。1年半ほど前から書道家の武田さんと、金箔を使った作品を手掛けています。その狙いは…
箔一 浅野達也 社長
「海外の方に持っていけるように。伝統産業、金沢箔を使っていろんな作品を作る」
金箔を使ったアート作品の海外での販売です。
今、伝統工芸の国内市場は年々縮小。担い手の高齢化もあり、生産額はピーク時の5分の1に落ち込んでいます。そんな中、「海外アート市場」に活路を見いだそうというのです。
箔一 浅野達也 社長
「日本のいいものを日本の中で見つけて、向こう(海外)に持っていく流れがコロナ後は特に活性化しました」
まず、アメリカ・ニューヨーク。現地の百貨店で作品を展示するなどして、海外での販売拡大を目指しています。
アートという付加価値をつけて海外で売り出す戦略をとるのは、この会社だけではありません。
こちらの作品に使われているのは、1400年以上の歴史を持つ「越前和紙」です。手で文字の形をつけることで、独特な質感が際立っています。
書道家 武田双雲さん
「日本の誇りだと思っている。箔とか和紙とかも、墨もそうだし筆もそうなんだけど、感動を広げる活動ができたらいいなと思ってます」
「地方創生」を掲げる政府も伝統工芸品の海外展開への支援を打ち出しました。
生き残りをかけ、「工芸品」の殻を破る試みはさらに広がりそうです。
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