スマホ普及の波に乗ったラジコ

 ラジコ成長の1番の要因は何でしょうか?

青木 2010年は日本のスマホ普及率が4%。ガラケーだらけでした。昨年のスマホ普及率が96%です。この15年で、スマートフォンの普及がここまで広がった。ラジコはその波に乗れたのが大きいですね。アプリをダウンロードさえすればラジオが聞けるデバイスが勝手に広がっていったわけです。世の中の流れに乗っかれたことが大きい。

 2010年の時点でスマホに賭けたのは先見の明がありますね。エリアフリーサービスはどのような経緯で実現したのでしょうか?放送局からの反対も多かったのでは?

青木 放送は長い歴史の中で、エリアを区切ってきました。それを一気に超えようとしても抵抗があるのは当たり前です。突破できたのは、ユーザーの声だと思います。

ラジコがスタートした頃、ユーザーにアンケートを取りました。1回目で7〜8万人もの方々が答えてくれました。その中に、「インターネットの時代にエリアを制限するのはおかしい」とのお言葉を多数いただきまして。そんな声に支えられてエリアフリーが実現できました。

ただ、エリアフリー(月額385円)を無料で提供しなかったことは、今でも良かったと思っています。システムを作り直すには、どうしてもお金がかかるので少しだけいただこうという判断と、無料ユーザーはエリアを超えられないことが放送局さんのお気持ちの整理としても必要でした。有料のユーザー様は思ってた以上に増え続け、2014年からエリアフリーを始めて8年後の2022年に100万人に到達しました。本当に感謝しかないです。

 TVerとラジコの違いをどう捉えていますか?

青木 TVerとラジコは似て非なるものです。ラジコはライブ配信から始まっています。だからラジオそのものなんです。TVerはオンデマンドから始まっています。見れる番組だけ載せてきた。今は一部ライブ配信してますが、全部ではないですね。つまりTVerは“テレビそのもの”ではありません。ラジコは“ラジオそのもの”で、ここに大きな違いがあります。

 ラジコの広告システムはどのような仕組みになっているのでしょうか?

青木 CMの売り方が、放送は“枠販売”ですがradikoは“人販売”なんですよ。どこで聴いていようが、何を聴いていようが、ビールが好きな人を探してビールのCMを聴いてもらいます。いわゆる、ターゲティング広告が打てるのです。技術的にすごくキレイに差し替わるので、ラジオの地上波で流れてるCMなのか、ラジコだけで流れてるのかは、注意して聴いてもわからないと思います。