長期停滞する日本経済 原因は
これはスイスのIMD(国際経営開発研究所)が毎年公表している「世界競争力ランキング」のデータだ。

統計が始まった1989年から4年連続で1位を記録していた日本だが、その後、30年にわたって下降傾向をたどり、2025年版では35位となった。
豊かさの目安となる、一人当たりの名目GDP(=国内総生産)も2022年に韓国を下回り、経済の停滞が続く日本。
一橋大学の野口悠紀雄 名誉教授は、政府が長年進めてきた“円安政策”が、日本を衰退させてきた根本的な原因だと指摘する。

一橋大学 野口悠紀雄 名誉教授
「2000年頃から日本は円安政策をとった。中国が工業化に成功して、日本の得意分野だった輸出の世界貿易に中国が入って来た。日本はこれに対応して円安、つまり安売りをすることで、この問題を解決しようと考えた。特にアベノミクスにおける異次元金融緩和で、為替レートを円安に導く。それによって、日本経済が劣化してしまった」
円安で生まれた利益に頼ることで、日本企業が技術革新を怠り、世界経済の大きな変化に対応できなかったと話す、野口氏。
今回、物価高への対応策として、与野党は“給付”や“減税”を掲げているが、いずれも、物価の上昇を促進しかねない政策だと警鐘を鳴らす。

一橋大学 野口悠紀雄 名誉教授
「どちらも“お見舞金”なんです。給付金にしても減税にしても、単に物を買いやすくするということ。そのことだけ取り上げれば、消費は増える。消費が増えるということは、物価を上げるように働く」
さらに、今後の日本経済に影響を与えかねないアメリカの関税政策についても…
一橋大学 野口悠紀雄 名誉教授
「今度は、全く新しい問題が降りかかってきた。これは日本経済にとって無視できない、非常に大きなマイナスの効果をもたらす。しかし、こういう問題も、今回の参院選で重要な争点になっていない。私は日本の政治家というのは、なんと無責任なことなのかと、強い怒りを抱いています」














