被災地にも物価高が…

さらに物価高の影響は、被災地にも。

2024年元日の地震で、甚大な被害を受けた石川県輪島市。街には今も、手つかずの家屋があちこちに残っている。

高出圭子さん(55)
「もう道が半分ないぐらいな感じだった。ここも道が半分割れてました」

市内のドラッグストアで、パート従業員として働く高出圭子さん、55歳。仕事が終わると、ほぼ毎日、スーパーで買い物をするというが。

高出圭子さん(55)
「全然高くなってます。材料費は結構高いと思うけど」

この日の買い物はパンや野菜など、全部で9品。金額にして2600円あまりだ。

高出圭子さん(55)
「パンは高くなってる。たぶん果物とかも高くなってるんじゃないかな。2割は上がっとると思うけどな」

震災以降、高出さんは夫と2人、6帖足らずの仮設住宅で避難生活を続けている。

夫の進一さんは元々輪島塗りの職人だったが、9年前に糖尿病を患い、引退。今はわずかな国民年金と、高出さんのパート収入が生活の支えになっている。

そのため食事には、こんな工夫も。

高出圭子さん(55)
「うどん、そば、焼きそばが週に1回ずつ入るから、麺は週に3回」

コメはいまだに高騰が続いているため、週3回はそばやうどんに変え、食費を抑えている。

高出圭子さん(55)
「私が倒れたら、この家はお終いだから、とにかく病気をせんように」

長年暮らしてきた自宅は、天井が崩れ落ち、住める状態ではなくなってしまった。輪島市からは全壊と診断された。

高出圭子さん(55)
「人が住んでないと、こんなになる。ひどいでしょ、全部倒れて。もう起き上がらせる気力もないって言って何もしてないです」

「助けて欲しい」医療費免除が打ち切りに…

そんな夫婦に6月末、さらなる追い打ちが…

高出圭子さん(55)
「(知人から)『国民健康保険、打ち切りらしいよ』と言われて、えってなって」

これまで国は、能登半島地震で家が半壊以上の被害を受けた人や、職を失ってしまった人などを対象に、国民健康保険の医療費負担を免除してきた。だが7月から、その支援が打ち切りになったのだ。

避難生活のストレスなどから肝臓を悪くし、国が指定する難病にも罹っている進一さんは、高額な投薬治療が欠かせない。支援の打ち切りにより、この先、必要な医療が受けられるかどうか、不安が募る。

夫・進一さん(74)
「国民健康保険(の被保険者)が多いから。病気して年いった人が打ち切り。助けて欲しい」

石川県の保険医協会が、支援対象者1911人に行ったアンケートがある。医療費免除の打ち切りに対し、「生活費を切り詰めて医療費に回す」と答えた人は65.5%。次いで「受診回数を減らす」「受診せず我慢する」など、経済的な理由から治療を中断せざるを得ないという声も多くみられる。

こうした中、政治に対する期待は薄れるばかりだという。

高出圭子さん(55)
「正直、投票に行っても行かなくてもいいと思う。(医療費免除を)打ち切られてがっかりしたし、見捨てられた気持ちになった。私達みたいなのがほとんどだと思う、輪島で。助けてほしい」