参議院選挙の最大の争点“物価高対策”。物価高が追い打ちとなり、能登の被災地や高齢世帯では生活の厳しさがいっそう増しています。政治にいま、何が求められているのでしょうか。
「生活できますか?」“年金4万円” 物価高が追い打ち
物価の高騰は高齢者の生活に大きな影響を及ぼしている。

愛知県春日井市に暮らす能見寛子さん、85歳。食品はほとんどが値上がりしているため、やりくりに頭を悩ませている。
能見寛子さん(85)
「やっぱり高いですね。これでも100円違うと思いますよ」
能見さんは夫を病気で亡くし、30年以上一人で暮らしている。

夫婦で洋品店を営んでいたため、受給できる年金は国民年金のみだ。いま受け取っている額では生活は厳しいという。
能見寛子さん(85)
「年金だけではちょっと無理です。年金4万円ですよ。生活できますか?」

晩御飯のおかずは、ハムとレタスにかまぼこなど。物価高で毎月食費がかさみ、貯金を切り崩さざるをえない。
能見寛子さん(85)
「できるだけ自分のできる範囲で節約はしてますけどね。だけどそれ以上のことはできません。ある程度食べなきゃいけませんし」

今回の参院選で最大の争点となっている物価高対策。一人当たり2万円給付を公約に掲げ、賃上げによる物価高の克服を訴える与党に対し、野党は消費税の減税や廃止などを主張している。
能見寛子さん(85)
「毎回選挙の度ですけども、何かしてあげますよと言いながらしてもらってませんよね。物価だって上がるばっかりだし」
午前8時、この日向かったのは…

自宅近くのデイサービス「てとりん村」。一日の定員18人の小規模介護施設だ。施設に入ると、タイムカードを差し込んだ能見さん。実はここのデイサービスの利用者ではなく、ヘルパーとして働くスタッフだ。
介護現場 “85歳のヘルパー”
毎月4万円の国民年金だけでは生活がままならないため、2年前から、週2回パートタイムで勤務している。中には2歳年下、83歳の利用者も…

利用者(83)
「(能見さんは)大きな声で楽しくやっておられます。もう至れり尽くせり」
能見寛子さん(85)
「いきますよ、立てる?」

高齢者の食事やトイレの介助など、若いスタッフと変わらない仕事をこなす。一日5時間働き、1か月の給料は約5万円だ。
能見寛子さん(85)
「働かなきゃいけません。たくさんもらうと思っていくわけじゃないが、多少心の余裕って言うんですか、少しでもあると。お金がないお金がないと言っても食べないわけに本当いきませんよ」
85歳の能美さんが介護現場で働く現実。食材や消耗品などの値上がりで施設の経営も打撃を受けている。代表の岩月さんは…

家族介護支援てとりん 岩月万季代 代表理事
「ギリギリですよね。もうやり尽くして、この他に何を考えられるかと言ったら、あと畑で何を育てるかみたいな。賃金上昇とか賃金を上げますみたいな報道を見る度に、小規模のところはどうしたらいいんだろうと本当胸が痛くなります」
介護業界は物価高の影響を受けても、事業者が自由に職員の給料を上げることは難しい。介護保険制度では施設の運営は国が定める介護報酬の範囲内でやりくりしなければならないからだ。
家族介護支援てとりん 岩月万季代 代表理事
「本当に給料上げてあげたい。米の値段とかで世の中のスタッフの生活が守られないということは経営陣にとって一番つらいこと。デイサービスで高齢者を面倒を見ていくけど、面倒見るスタッフの面倒が見られてなかったら、本末転倒」
午後2時…

能見寛子さん(85)
「はぁ~、疲れました。2万円給付も嬉しいですよ、もらったらね。でも、それはぱっと使って終わるお金です。もし2万円を皆さんにあげると言うのであれば、そのお金を使って(政治家は)何か仕事をして欲しい」














