インターハイをチームで楽しむことも世界陸上へ向かう力に

久保のRoad to Tokyo 2025の順位が、日本選手権の結果を反映して40位(1236ポイント)に上がった。女子800mの出場人数枠が56人ということ、ボーダーラインの選手が現在1172ポイントということを考えると、8月末にRoad to Tokyo 2025の順位が確定した時点で代表に選ばれる可能性が高い。

「中学から陸上競技を始めて世界の舞台はずっと遠い存在でしたが、今回2度目の1分59秒台を出すことができて、目の前に来ているな、という気持ちになりました。出場できたらまた国立競技場になるのでめいっぱい楽しんで、1本でも多く走って、走るからにはファイナルまで進みたい気持ちはあります」

野口監督によれば試合出場はインターハイ(7月25~29日)の800mと1500m、Athlete Night Games in FUKUI(8月16日)の800mを予定している。その後は準高地で合宿も行う。久保にとってプラスになるのは世界陸上までの間に、インターハイをチームで戦えることだ。

久保自身はインターハイについて「高校最後です。チームとしては総合優勝というところと、個人も出るからには記録というところに全力で取り組みます」と話した。ピークを合わせる、合わせないではなく、楽しんで走ることで、どんな大会でもそのときの力を出し切る。そこに東大阪大敬愛高が、自己新記録を出すことを重要視しているチームであることも加わる。久保自身も「特に中距離はしんどいですけど、記録が出たときはめちゃうれしい」と話している。

インターハイの戦いと自己新記録について、野口監督が次のように説明してくれた。「タイムが遅い選手でも自己新を目指していますし、自己新はその選手にとってまだ見ぬ景色を見ることになる。そこに向かって努力をすることは、どんなレベルの選手でも変わりません。久保に対しても2分を切ろう、標準記録を切ろうと言ったことはなくて、自己記録を出そうと3年間言い続けて、今の記録になっています」

そして久保以外のチームメイトにとっては、インターハイは高校競技生活一番の目標になる。「インターハイは勝っても負けても、みんなでやっている喜びを分かち合うことができます。インターハイはチームの17人全員で戦いますし、17人全員が自己記録を目指す空気に久保も身を置くことができる。世界陸上を戦うのは久保1人ですが、それぞれの目標に立ち向かっているのは1人じゃないことをインターハイで実感して、東京世界陸上に向かっていけます」

経験の少ない選手が世界大会で結果を出すことは、過去の例を見ても難しい部分が多い。だが高校生だからこそ、力を出せるケースもある。久保が9月の国立競技場でそれを証明する。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)