力んで走った木南記念の不調から“楽しんで走る”ことで復調

今季は静岡国際(5月3日)で2分00秒28、アジア選手権(決勝は5月31日)は2分00秒42と、自己記録から0.5秒以内のタイムで走ったが、木南記念(5月11日)が2分02秒29かかり、豪州選手にもゴール前で抜かれてしまった。木南記念からアジア選手権の間にどう立て直したのだろうか。

「静岡で良い走りができて、地元の木南記念で絶対に記録を出さないといけない、という気持ちが強すぎて上手くいきませんでした。アジア選手権は初のシニア日本代表なので、そこからはどんどん楽しんで走ろうと思えてきました」(久保)

アジア選手権前にも短期間で合宿を行っているが、その間にミーティングで、心の持ち方を野口監督と話し合った。野口監督は「期待される、注目されるということは、プレッシャーではなくありがたいこと。それを力に変えることが大切」と話したという。MLBの大谷翔平(31)も引き合いに出した。「打率3割の大谷選手でも7割は失敗している。それでも評価されている。陸上選手も自己新を目指すけど、全部が自己新ということはないのだから、今ある力を出せばいい。今の力を出し切るには、楽しんだりリラックスしたり、陸上競技の原点に戻るのが一番だよ、と話しました」

日本選手権前には「家族にもそう言われたことが大きかった」と久保は振り返る。「日本選手権の前も、国立競技場に応援に来てくれてからも、『勝ってね』ではなくて『楽しんで走ってね』と何度も言ってくれて。もうそこだけに気持ちを置いて走ろう、と。2連覇や標準記録を考えて少し緊張もあったんですが、何も考えずに国立競技場という舞台を楽しもう、という気持ちで走ることができました。それで最後まで力まずに走れたのかな、と思います」

自身の喜びを一番に、監督と家族に知らせたかったのは、そうした支えがあったからだろう。