ウクライナではロシア軍による市民の「大量虐殺」が複数の街で行われていた可能性が浮上しています。いくつかの遺体には“拷問の形跡”も。現地を取材した日本人ジャーナリストに話を聞きました。 


■「残虐な行為を行った責任者を必ず見つける」

首都キーウから西に20キロ離れたストヤンカでは、川をまたぐ高速道路が大きく破損しています。ゼレンスキー大統領は3月4日、ロシア軍が撤退したキーウ近郊の町を視察してまわりました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「あっちはどんな状況?」

大きな建物は破壊力の高いミサイルなどで攻撃を受けたのでしょうか。損傷が激しく、一部を除いて原形をとどめていません。川沿いに無数に見られる黒くなった部分は砲撃が着弾したところです。
キーウの北西にあるイルピンの道路には、避難中の住民が乗り捨てたとみられる乗用車が多数破壊されていました。

ゼレンスキー大統領
「現在、ボロディアンカやその他の解放された町では死傷者の数がもっと多いとの情報がある」

各地を視察したゼレンスキー大統領は「まだ明るみに出ていない被害がある」としました。具体的に挙げたのが、キーウ北西のボロディアンカです。ウクライナ国防省Facebookの映像からは町の破壊が進んでいることがわかります。

3月2日、ウクライナ外務省のTwitterに投稿された映像では・・・

ウクライナ外務省の投稿動画
「見ろ、最悪だ。これはロシアがもたらした世界だ。みんなに見せないと。あいつらが民間人を殺してないというのは嘘だ」

ロシア軍が撤退したばかりで、まだ町の状況がわかっていないのが現状です。
道路に放置されたままとなっていた複数の遺体。頭から血を流して死亡した男性は、両手を背中の後ろで縛られていました。抵抗できない状態で殺害されたものとみられます。
ゼレンスキー大統領は「ブチャで少なくとも市民300人以上が殺害され、大量虐殺=ジェノサイドが行われた」と訴えています。

ゼレンスキー大統領
「我々は残虐な行為を行った責任者を必ず見つける。それが世界にとって必要なことです」