政治的主張と再生回数 “アテンションエコノミー”の実態とは?

kokoさんは、3万人近い登録者数のYouTubeチャンネル「伝統保守チャンネル―最期は笑って」を運営するユーチューバーだ。

ユーチューバー kokoさん
「こんな感じで、日の丸をバックにしながら撮影させていただいております」

外国人参政権や夫婦別姓などについて、否定的な立場で発信している。

ユーチューバー kokoさん
「こちら、実は昨日購入しまして、街頭演説を配信するために買ったカメラです。14万くらいですね。おかげさまで、5月のYouTubeの収益がとてもよかったので、経費で購入させていただきました」

6月は過去最高の視聴回数になり、40万円近い収益が得られる見込みだという。

投稿している動画には、政党や個人について批判的な見出しを付けたものも多い。

国会では、再生回数を稼ぐために過激な内容やデマを含んだ動画が作成されるケースを問題視している。選挙期間中の収益化を規制する案も浮上したが、見送られた。

そうした議論について聞いてみると…

ユーチューバー kokoさん
「過激な見出しの方がクリック率が高まるのは確かなんですよね。でも、そればっかりやっていたらダメでしょ、とは思います。全部が全部そうしているわけではなく、緩急をつけるっていう意味では使っていますね」

政党別の公式YouTubeチャンネルの登録者数は、れいわ新選組、参政党、国民民主党の順で多くなっている。

政党の中には、切り抜き動画向けの素材を積極的に提供するなど、SNSを選挙の追い風にしようとする動きもある。

メディアとSNSの問題に詳しい法政大学の藤代裕之教授は、こう語る。

法政大学メディア社会学 藤代裕之教授
「たくさん増やして、どれかがバズれば、それが流れ着く。そしたら、この人ってこういう政治家なんだなという印象を抱く。そこに切り抜き動画は、強力な影響力を持っていると思います」

一方で、切り抜き動画などが過熱して、デマや誹謗中傷が広がることを危惧する。

藤代教授
「『アテンションエコノミー』と言われている、事実よりも面白さに注目されることの方が、SNS上では重視されている。目立てば勝ち。注目されるために、過激なことを言ったりとか」