H2Aロケットの最終号機・50号機が今月29日、種子島宇宙センターから打ち上げられ、打ち上げは成功しました。各地の表情を振り返ります。

▶ロケットの打ち上げ、各地の表情を画像で掲載しています。

H2A50号機は、29日午前1時33分に種子島宇宙センターから打ち上げられました。16分後、観測衛星「いぶきGW」を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

最後の打ち上げを見ようと、種子島には多くのファンが訪れました。

(屋久島から)「一瞬、朝が来たようできれいだった」

(福岡から)「小さい時から見ていたロケットなので感慨深い」「お疲れ様という感じ」

H2Aは2001年以降、小惑星探査機「はやぶさ2」や日本で初めて月面に着陸した「SLIM」など、衛星や探査機を輸送。6号機で失敗したものの、50機中49機で成功し、成功率は世界最高水準の98%になりました。

(三菱重工業 鈴木啓司打上執行責任者)「役割を果たし終えた50号機に対して『よくやってくれたね、ありがとう』と言いたい」

南種子町で民宿を営む、海野さん夫妻です。H2A初号機から、ロケット関係者の宿泊場所として打ち上げを支えてきました。

(海野さん)「きょうの射場の雰囲気はどう?」
(H2A打ち上げ関係者)「直前なんで緊張感がすごい」
(海野さん)「きょうは無事あがりますように」

(H2A打ち上げ関係者)「非常に大きな支えになる存在。成功してH2Aは納めたい」

およそ4年ぶりとなる夜の打ち上げ。小学2年生の孫・肖菜ちゃんも眠い目をこすり、頑張って起きました。そして…。

「わあ、バンザイ」「さよなら」「最後かと思うと感無量だね、無事見送れて良かったね」

種子島で民宿を営み60年。H2Aをそばで見つめてきました。

(海野賢一さん)「ロケットがなければ、これだけの町にならなかったと思う」

(海野タズ子さん)「これからもロケットと一緒に頑張って、送り迎えしたい」

打ち上げの様子は、県本土からも。

姶良市からは夜空をオレンジ色に染めながら、桜島の山頂から宇宙へと向かう様子が。

鹿屋市では神社の鳥居と、天の川との美しいコラボレーションです。

南九州市からは、開聞岳上空、満点の星空に伸びるロケットの光跡が、水面にも映し出されています。

多くの人に見守られ、最後の宇宙へ旅立ったH2A。その役目は、打ち上げコストを半分に抑えた新型のH3ロケットへと引き継がれます。