■「棄権」中国 “圧力や制裁は負の波及をもたらすだけだ”

「ウクライナの情勢は劇的な変化を続けている。今、展開されていることは、実に胸が痛むことだ」

中国の張軍国連大使は、声明で「胸が痛む」という認識を示した。外交筋によれば、今回のウクライナ侵攻について、「中国は苛立っている」という見方が、関係者の間で一致しているという。中国が重視してきた、領土保全や内政不干渉という点で、これに反する事態が起きていることから、これまでの「ロシア擁護」の姿勢とは、少し異なる対応になっているとされる。

声明で、中国は具体的な対応として、「当事者間の直接対話と交渉が可能な雰囲気と条件を醸成する」ことを要請。

一方で、「やみくもに圧力をかけ、また制裁を科して、分断と対立を生み出すことは、状況をさらに複雑化させ、危機の負の波及をもたらすだけである」と、現在の欧米や日本のアプローチが誤っていると強く批判した。

さらに、最終的な解決に必要なこととして、「冷戦的な考え方を捨てること、他国の安全を犠牲にして自国の安全を確保する論理を放棄すること、また軍事ブロックの拡大によって地域の安全保障を追求するアプローチを放棄することが必要だ。全ての国の安全保障上の懸念に十分な配慮と敬意を払い、そのうえで、バランスのとれた、効果的で、持続可能な欧州の安全保障メカニズムを構築するための交渉が必要だ」などと、現在のNATOなどの安全保障の枠組みについてまで問題提起している。
 

■「棄権」キューバ “偽善とダブルスタンダードを拒否”

「キューバは常に平和を擁護し、いかなる国家に対しても武力行使やその脅威をもたらすことに明確に反対している」
「ウクライナで、罪のない市民の命が失われたことを深く遺憾に思う」

このように、キューバのクエスタ国連大使は、今回の侵攻を明確に非難した。そのうえで、事態を招いた要因を検証すべきと、2つの問題点を指摘している。

1:NATO(=北大西洋条約機構)の拡大

「NATOのロシア国境への漸進的拡大を継続するというアメリカの決定は、予測不可能とみられるような状況をもたらしたが、これは回避できたはずだ」
「ここ数か月のアメリカとNATOによる、ロシアに隣接する地域への軍事的行動は、ウクライナへの近代兵器の搬入が先行し、全体として軍事的包囲を構成するものであることはよく知られている」

このように、ロシアが武力行使に至った要因として、アメリカとNATOの軍事行動を指摘。さらに、「安全保障を求めるロシアの主張について何十年も無視し、ロシアが国家の安全に対する直接的な脅威に直面しても無防備を続ける、と考えたのは誤りであった」とした。

2:アメリカによる武力行使の歴史

「キューバは、偽善とダブルスタンダード(=二重規範)を拒否する」

1999年に、アメリカとNATO軍が安保理決議を経ずに、旧ユーゴスラビアに対して、「国連憲章を無視した大規模な侵攻」を開始したことを「思い出すべき」と批判した。
さらに、「アメリカと一部の同盟国は、これまでにも何度も武力を行使してきた。政権交代をもたらすために主権国家を侵略した」「彼らが“巻き添え被害”と呼ぶ、何十万人もの民間人の死、何百万人もの難民、そして地球の地形の大規模な破壊に責任がある」などと痛烈にアメリカを批判した。

コソボ、アフガニスタン、イラクなどでの歴史は、アメリカが批判を免れない側面もあるだろう。キューバは、この2点を踏まえて、提出された決議案が「必要なバランスを欠いている」とした。結論としては、「平和的手段による、建設的で現実的な外交的解決を、引き続き提唱する」としている。

キューバの外交関係者はJNNの取材に、今回、「棄権」に回った理由について「この決議は、アメリカが、NATOとウクライナを利用して政略を進めようとしているという問題の本質に対処していない」とする一方、「それと同時に、紛争解決のための武力行使にも同意しない」と、ロシアの軍事行動に同意しないことを示すために「棄権」したと説明している。