■“一斉退席”で抗議の表明                              

確かに、「強い抗議の表明」に見えた。スイスのジュネーブで開かれていた国連の人権理事会で、ロシアのラブロフ外相がビデオ演説を始めると、多くの外交官が立ち上がり、議場を後にした映像がニュースで流れた。ロシアによるウクライナ侵攻への抗議の意思を示したものだった。この後、ラブロフ外相は、約15分間の演説で侵攻の正当性を主張したという。
ウクライナ市民の人権という観点からも、今回の侵攻は許されるものではない。一斉退席という「演出」は強い印象を与える。ただ、もし相手の言い分を聞く耳すら持たない、と受け止められるとすれば、それは決して望ましいものではない。
 

■40年ぶりの国連緊急特別会合 決議に「反対」「棄権」の“少数派”は?

アメリカ・ニューヨークの国連本部では、国連総会が緊急特別会合を開いた。安全保障理事会の要請による開催は、実に40年ぶりだった。2月28日から3日間にわたって、各国大使らの演説が続き、ロシアに即時撤退などを求める「決議」が採択された。賛成141か国、反対5か国、棄権58か国だった。安保理とは異なり、総会の決議には、法的拘束力はないが、ロシアに対する国際社会の意思を示したと言える。

決議では、「ロシアのウクライナ侵攻に最も強い言葉で遺憾の意を示す」「ロシアに軍の即時、無条件撤退を要求」「親ロシア派支配地域の独立承認の撤回を要請」「核戦力の準備態勢強化の決定を非難」などが盛り込まれた。

一方、圧倒的な“少数派”である「反対」「棄権」の国名を並べてみる。

◎反対(5):ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリア

◎棄権(35):アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、エルサルバドル、赤道ギニア、インド、イラン、イラク、カザフスタン、キルギス、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ

特に、注目されるのは、ロシアと親密な関係にあるキューバとニカラグアだ。2014年のクリミア併合に関する決議では、両国とも「反対」に投票していたが、今回は「棄権」に回っている。また、これほど明白な国際法、国連憲章に違反する行為であるにもかかわらず、中国とインドという大国が「棄権」を投じた。

「反対」はもちろん、「棄権」の国に対しても、ロシアの武力行使を擁護する「悪者」とレッテル貼りするのは容易い。しかし、国際情勢を、単純な“善悪二元論”で語ることには、常に危うさが潜む。こうした国々の主張に、何か解決へのヒントはないか。ロシアに正面から反対できない国情を抱えていることも留意しつつ、特に「棄権」を投じた国の「論理」にも、少しばかり耳を傾けてみたい。