ホルムズ海峡封鎖はイランにとっても「諸刃の剣」

 次に、イランの国会で承認され、懸念が高まる「ホルムズ海峡の封鎖」について、野村総合研究所の木内氏やエネルギー・金属鉱物資源機構の野神氏に聞きました。

 まず、ホルムズ海峡封鎖はイランが切れる最大の“カード”だということです。

 ホルムズ海峡の周囲には産油国が多いため、原油の多くはここを通って世界(多くはアジア)に輸出されます。封鎖に踏み切れば、世界中の原油価格の高騰につながります。
 
 アメリカは“トランプ関税”の影響で物価が上がりそうな中、多くの原材料の元になる原油を安くすることで物価高騰を抑えたいと考えていますが、ホルムズ海峡の封鎖で原油の値段が上がれば、当然さらなる物価高を招きます。日本にとってもガソリン価格の高騰など、さまざまなコストが上がることにつながります。

 ただ、これはイランとしても最後まで切りたくないカード。なぜなら、他の国へ石油を輸出したい中東諸国や、友好関係にある中国との関係が悪化してしまうからです。さらに、当然イラン自身も石油を売っているため、自国の経済的損失にもつながります。