「核が引き続き脅威に」「メンツが立たない」各国の思惑

 ここで、イスラエル・イラン・アメリカのそれぞれの“本音”を見ていきます。

 まずイスラエルの本音。イランを攻撃してはいるものの、ハマスとの戦いも長引いて戦闘に疲弊している状況で、停戦してもいいと考えています。しかし、停戦してしまうと、イランが持っていると疑われている核ミサイルが引き続き脅威になるため、イランを徹底攻撃するしかない、というのがイスラエルの本音ではないかと中東ジャーナリスト・池滝氏は見ています。

 一方、イランの本音としては、制空権もない今、圧倒的に不利な状態のため停戦したい。しかし今停戦すると、攻撃を受けて弱体化してるから停戦に応じたと思われ、メンツが立ちません。

 アメリカの本音としては2つあります。1つ目は、今のイラン政権の転覆させたいイスラエルと違い、イラン政権は維持させたい。その背景にあるのはイラクの教訓です。アメリカ軍は過去にイラクを支配していましたが、米軍の撤退後、イラクは再び不安定になりました。つまり、イラクの時のように政権を倒してしまうと、その後もっと不安定で反米意識の強い政権ができるかもしれません。池滝氏によれば、今のイラン政権はアメリカやイスラエルと交渉する余地が残っている点から、アメリカとしては現在の政権のままでいいと思っているのではないかということです。

 2つ目の本音は、イスラエルのことは支援しつつ、紛争は終わらせたい。トランプ大統領の支持者の中には、イスラエルを助けてほしいユダヤ系アメリカ人も多くいますが、同時に、外国の戦争よりも自国にお金を還元してほしい “アメリカファースト”を望む労働者たちもいるためです。