中国製品「安かろう悪かろう」は過去の話
野村:具体的には、何が起きているのでしょうか?
comugi:例えば、中国のエコバックスという会社は、ルンバに対抗するロボット掃除機を発売しています。水拭き機能や自動ゴミ収集機能といった高機能なものをルンバに先駆けて次々と投入し、しかも価格が安いのです。
野村:安いというイメージはありましたが、安い上に機能も良いということですね。
comugi:その通りです。「安かろう悪かろう」というメイドインチャイナのイメージは、もはや古いものになっています。他にも、ドリーミーテクノロジーという会社が発表した製品は、本体の脚が伸びて6cmの段差を乗り越えるという革新的な機能を搭載しています。
ロボット掃除機において、日本の家屋は「段差が多い」という課題がありますが、そこを解消する機能を、猛スピードで開発するところが中国メーカーの恐ろしい点です。
野村:ロボット掃除機だけでなく、他の分野でも同じような状況なのでしょうか。
comugi:はい。高級家電の代名詞であるダイソンも、去年、人員を3割削減するというニュースがありました。ダイソンの世界の従業員は1万5000人ほどいるので、かなりの割合です。サイクロン式掃除機や羽のない扇風機など革新的なものを作ってきたイメージがありますが、今や中国製品に押されている状況です。
野村:ロボット掃除機だけでなく、ダイソンのような通常の掃除機も中国製が伸びているのですね。
comugi:さらに衝撃的なのは自動車業界です。ドイツの高級車ポルシェのEV(電気自動車)の「タイカン」にそっくりな、Xiaomi(シャオミ)の「SU7」という車が登場しましたが、単なる模倣ではなかったのです。駐車支援機能やAI搭載など、機能面ではポルシェを上回る部分を実装しながら、価格は半額程度で販売されており、業界に衝撃が走っています。
野村:Xiaomiはスマートフォンメーカーですが、新規事業としてEVにもその技術力を活かしているということですね。日本の基幹産業である自動車産業の先行きもどうなるのかと考えてしまいます。