全身の筋肉が少しずつ動かなくなる難病=ALSと闘う元教員の男性。心身ともに支えているのは妻です。病気と向き合う夫婦にはお互いを尊重し合う深い絆がありました。

有坂栄康さん:「学校は、誰もが人権をもった存在であることをきちんと学べる場所でなくてはならない」

全身の筋肉が衰えていく難病「ALS=筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」と闘う佐久市の有坂栄康(ありさか・ひでやす)さん53歳。


病気が進行したことで、3年前に大好きだった教職の場を離れました。

「ま、まみ…ら、らりる…中見る?」

5年前から車いすが必要となり、今、動かせるのは、目と足の指先だけ。
声も失い、文字盤などで意思を伝えます。


そばで支えるのは妻の麻紀さんです。

先月、有坂さんが講師を務めた講演会。教員に人権教育の理解を深めてもらおうと、県教委などが企画しました。


有坂さんの体に異変が起きたのは9年前の44歳のころ。はじめは右手のしびれでした。病は徐々に体をむしばんでいきます。

妻・麻紀さん:「病気はなってしまったら仕方ないので、考えてどうこうなることではないから、そういうことは考えなくて、楽しく、楽しくいければいいかなと思って。だからいっぱい楽しいことを考える。やりたいことやってですね」


麻紀さんは、闘病生活の中でも有坂さんに充実した日々を送ってほしいと、講演会などの取り組みを後押ししてきました。


話すことができない有坂さんの思いを伝えるのは、クレイトン美保さん。
有坂さんが最初に担任をした小学校の教え子です。

クレイトン美保さん:「(有坂さんは)昔と変わらない。体が動こうが動かまいが、熱意は全然変わっていない。昔から尊敬できる先生ですし、今でも尊敬できる先生です」