■クマの被害に悩まされる北海道に「くまドン」教授の姿はあった


人と動物の共存の道を探ります。音が出る装置を使った獣害対策の実験に取り組む岡山理科大学の教授については、以前もイブニングニュースでお伝えしました。

北海道で取り組むのはクマ対策。10月に教授が現地を訪れました。装置は救世主となるのでしょうか。


10月、札幌市内で相次いだクマの目撃。


「いた、いた、いた」
人が住むエリアに出没するなど、危険な状態です。


そんな中…10月、北海道・中札内村の公園を訪れたのは、岡山理科大学の辻󠄀維周教授です。


「それですね」
「あれですか?」
「おー」


ソーラーパネルとスピーカーなどを組み合わせた装置。クマに悩まされる北海道で、救世主になりうると期待されています。

(岡山理科大学 辻󠄀維周教授)
「これが『くまドン』ですね」


センサーが、動物の動きを感知し音を出す「くまドン」です。動物が嫌がる音を研究してきた辻󠄀教授が、山梨県の企業と共同開発しました。


ビートやデントコーンを食い荒らされるなど、被害に悩まされてきた中札内村も、
期待を寄せるその実力は…

(「くまドン」の音)

公園に現れた若いクマは、一目散に逃げていきました。

中札内村・剣淵町・富良野市の3か所で実証実験が進んでいます。この日も…


(岡山理科大学 辻󠄀維周教授)
「撮れていた?クマいました?」
「おー今、びっくりして逃げていく」


(中札内村住民課 田中志拓さん)
「昨年まで毎年のように出没していたこの公園で、今年は出没の目撃情報もゼロ。すでに十分効果があるのかなと考えています」


被害は、北海道特産のメロンの農家でも…


(阪口農園 阪口輝郁さん)
「クマがこのネットを破った。たぶん一発でしょうね。昨年は支柱を折られた」


メロンをつくり続けて47年。この農園では毎年、収穫時期になるとその甘い香りに誘われてクマが畑近くに出没するため、「くまドン」の設置を辻󠄀教授に依頼しました。


今年8月のある夜10時ごろ…一頭の大きなクマが現れました。前足で何かを漁るクマ。そのとき…


「ブー!」


(阪口農園 阪口輝郁さん)
「クマが畑に入ってこられないようになれば、僕らも安心」


ただこの「くまドン」も「設置して終わり」とはなりません。時間の経過とともに、動物が音に慣れてしまうと効果が薄れる恐れがあります。


周波数や音のパターンを変えることはできるものの、人の目による細かな状況観察やメンテナンスは欠かせません。


(岡山理科大学 辻󠄀維周教授)
「動物はどうやったって慣れることは慣れる。だから慣れないよう、または慣れてきたらまた変える、という部分の小回りを利かせないといけないので」