「油に浸して」冷却電力を抑える

サーバーの冷却については、“油”を利用する動きも。

『出光興産』研究戦略‧管理グループ岩井利晃主任
「生成AIの登場でCPUやGPUの発熱量が非常に増えてきている。従来の空冷冷却では、その発熱量を冷やす限界にきている」

4月、出光興産が発売したのはデータセンター向けの「液浸冷却」用の油だ。
「液浸冷却」とは、電気を通さない油に“サーバーをまるごと浸けて”冷やす冷却方法で、冷却水を利用した液冷冷却より消費電力を抑えることができるという。

使用する油の特徴は“透明度が高い”点で、「サーバー内の視認性が高くなりメンテナンスがしやすくなるメリットがある」(岩井主任)とのことだ。

データセンターは「避難所に最適」

また、【土地・電力】の課題に“浮かぶデータセンター”で挑む企業も。

海運大手の『日本郵船』が2025年10月頃から実証実験を開始するのが「洋上のデータセンター」。太陽光発電と蓄電池設備、コンテナ型データセンターを備え
▼陸での建設費に比べ安価
▼再生可能エネルギーで稼働できるメリットがある。

さらに将来的には、洋上風力発電を利用した「洋上浮体型」、海に浮かぶデータセンターも目指しているという。

課題解決に向けた動きも進む「データセンター」だが、専門家は“従来と違う活用法”も期待されると話す。

東京大学 江崎教授:
「データセンターは洪水が起こりにくい場所、かつ地震に強いところに設置しているので、“避難所としては非常に最適な場所”。自家発電を持っていているので、データセンターの敷地に避難スペースを置いてあげると、データ通信は途切れないし停電時にエネルギーも提供できる」

米・中に集中する「データセンター」

需要が高まる一方で、世界シェアで見ると日本はまだまだ出遅れている状況だ。

【2024年データセンターの地域別シェア】※IT機器への供給電力ベース
▼米国⇒45%
▼中国⇒25%
▼欧州⇒14%
▼日本⇒4%
▼その他⇒12%

――アメリカと中国に集中しているが、データセンターは今や経済成長の推進力。国家的な“立地戦略”などを立てる必要がある

『BNPパリバ証券』中空麻奈さん:
「場所の確保もそうだし、技術的なブレークスルーもしてもらわないといけない。データなんかなくても大丈夫、保存しなくてもいいんだみたいな、目からウロコの技術が出てくるとか。あるいは、地震にも強いところに立ってるので、建設する土地の資産価値を下げるのではなく、上がるような仕組みに変えていくなど、まだいくらでもやれそうな分野だと思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年6月14日放送より)