千葉県印⻄市で新たなデータセンターの建設に住⺠から反対の声が上がっている。需要が増える中で見えてきた“課題”と、新しい発想による“解決策”とは。
“データセンター銀座”で反対運動
インターネット用のサーバーやデータ通信の装置などが設置されている「データセンター」。

その建物が多く建ち並び“データセンター銀座”とも呼ばれているのが千葉県印⻄市だ。これまでは住宅地から少し離れた場所にデータセンターが建設されていたが、新たに駅前の商業地に建設されることに対し反対運動が起こっている。

2年半前、駅近くのマンションに引っ越してきた武田淳一さん(39)。
15階建ての14階の部屋で、遠くまで街を見渡せる開放的なベランダが気に入り購入したというが、その目の前に地上6階建て、高さ52.7メートルのデータセンターができる予定だ。

武田さん:
「もう目の前の景色は見えなくなるし、日当たりもちょっと厳しいかなと。駅前がデータセンターになると、この街の魅力が下がってしまう」

武田さんは近隣マンションの住⺠と一緒に市⺠団体を立ち上げ、1日に開かれた集会には100人を超える住⺠が参加。“計画を撤回させる”方法を説明した。

参加した住民は―。
「目の前に大きい建物ができるのが一番嫌。資産価値も下がるし日陰にもなるし、とてもじゃないけど受け入れることはできない」
「住⺠に寄り添った形で解決をして欲しい。データセンターを作らないでくれとまで思っていないが、もう少し考慮してもらえれば」
集会には印⻄市の藤代健吾市⻑も参加した。
藤代市長:
「街づくりの観点からも、果たして人が立ち入らないような施設が駅前にあっていいのかについては、私としては違うのではないかというのは明確に持っている」
住⺠らの懸念への対応について事業者側に番組が問い合わせると…
「今後適正な手続きに従い、対象範囲となりますマンションごとの説明会の開催や、ご質問頂きました近隣の方々には個別に皆様が不安に感じておられる点なども含め、建設計画の内容を丁寧に説明して参る所存です」などと回答している。
建設計画が立ち消えになった例も
データセンターの建設反対運動は、これまで他の地域でも起こっている。
千葉県流山市の駅前。広い敷地が工事用のフェンスに囲まれ、パイプなど建築資材も置かれたまま。

この土地では2022年に地上4階建て・高さ28メートルのデータセンターを建設する計画が決定したが、近隣住⺠から懸念の声が相次ぎ、2023年に事業者から「構想を取り下げたい」との申し出があり建設計画は立ち消えになった。
需要増なのに「土地不足」
AI(人工知能)の活用が進むにつれ、需要が増えるデータセンター。

国内のデータセンター建設における投資額の予測(※IDC JAPANより)では、2028年に1兆円を超える投資規模となる一方で、「建設が特定の地域に偏っている」と専門家は指摘する。

東京大学 江崎 浩教授:
「一番ユーザーが多い東京の都心にたくさんのデータセンターが集中している。場所が少ないので、東京周辺に分散化が始まっている。その顕著な例が印⻄市」
データセンターの立地に最適なのは「地盤がしっかりしている」場所。
現在、データセンターは関東や関⻄に集中しているが【建設する土地不足】という課題に直面している。