「リリーフ陣の負担がちょっと重くなりすぎている」

―――阪神が誇る鉄壁のリリーフ陣にも疲れが出てきたのでしょうか。掛布さんとしては、6月6日のオリックス戦で頭部に打球を受けた石井大智投手(今シーズン24試合登板・17ホールド・3セーブ・防御率0.36)の離脱の影響は大きいとして、「先発をもう1イニング引っ張る采配をしてもいいのでは」という見方のようですね?

 「10日の試合で先発した才木(浩人投手)は6回を投げて94球、無失点で降板。ギアを上げなければいけないイニングが何度かあったので、6回94球というのは、ベンチでしかわからない才木の体力の消耗があったのかもしれませんけど、6連戦の頭を投げるピッチャーですから、6イニングでおろすようなことをすると、リリーフ陣がきつくなります。これはもう1イニング伸ばせたと思うんですよ」

 「11日の先発・伊藤(将司投手)のピッチングは100点です(8回途中105球を投げて無失点)。14日の大竹(耕太郎投手)は5回を投げて88球(1失点)ですから、しかもこの試合は楽天のホームでDHを使っているわけですから、もう1イニング伸ばせたと思います。そうするとリリーフ陣のバランスが変わってくると思うんですよね。リリーフ陣の負担というものがちょっと重くなりすぎている。その分、先発投手陣をもう1イニング伸ばすような形のピッチングリズムを考えれば変わるんじゃないかなと思います」

―――やはり考えるのは球数ですか?

 「球数以上に、ピンチを背負ったときにギアを上げる出力、前半3回までに一度二度上げると、後半に出力が上がらないんですよ。(ピンチの場面に出力を上げると)すごく体力を消耗します。だから、同じ94球でも体力の消耗の多い94球と少ない94球がありますね。前半3回、相手打者が一回りする間は、出力を抑えた投球で抑えるということが、先発ピッチャーはすごく大切なんだというのは元巨人投手の江川(卓さん)が言っています。3回までにピンチを作ると、後半しんどいって言うんですよ」